フリーランスが法人化する3つのメリット。個人所得税率が23%を見逃すと大損!?

フリーランスで活動していれば一度は聞いたことがある「法人化」。
でも、うまく説明できる人は少ないのではないでしょうか。

今回は、フリーランスの法人化についてお話します。

目次

法人化ってなんだろう?

法人化とは

フリーランスにとっての法人化とは、ものすごく簡単にいうとお仕事を「会社」にすることです。

法人には、会社以外にも利益を得ることを目的としない「NPO法人」や「一般社団法人」、社会福祉事業を行う「社会福祉法人」といったものがありますが、今回はフリーランスにとっての法人化なので、会社設立とほぼイコールだと思ってもらって良いと思います。

法人化は、しばしば「法人成り」とも呼ばれます。

会社にも種類がある

ひとくちに会社といっても、その種類はさまざまです。

  • 株式会社 …株主から資金を集め、会社の利益を株主に還元
  • 合同会社 …経営者自身が出資者であり社員の小規模事業
  • 合名会社 …出資者全員が無限責任を負う
  • 合資会社 …無限責任社員と有限責任社員あり

上記のうち、株式会社以外の3つはまとめて「持分会社」といいます。決算公告の義務があるかどうかが大きな違いです。

ちなみに、よく耳にする「有限会社」は2006年施行の会社法以降は新設することができなくなったので除外しています。

会社の種類が違うと、設立の方法が異なります
また、破産時の法的責任の範囲も違いますから、比較検討して決める必要があります。
が、長くなってしまうので今回はその点についての詳細は省きます。

個人事業(自営業)と法人の違いは?

個人事業(自営業)と法人とでは、法的な枠が異なります。

個人事業は、広義ではフリーランスです。
なぜなら、「事業をするよ」と届け出てはいるものの、法的には個人が行っている活動として捉えられるからです。

対して法人は、組織の活動であると捉えます。

つまり法人化とは、これまでは「人」にあった活動の枠を「会社」という法的に認められた組織にすることといえますね。

これによりもっとも異なるのは税金で、個人の活動で得た収入には個人用の「所得税」や「住民税」などがかかるわけですが、法人の活動で得た収入には「法人税」や「法人住民税」という別の税金が適用されるようになります。

ほかにも、決算月や社会保険、赤字の繰越できる期間などが異なります。

法人化のメリット

会社は、資本金1円でも、たった1人だけでも作れます。
では、法人化するメリットはどこにあるのでしょうか。

  • 社会的信用度が増す
  • 収益が大きいなら節税が可能
  • 給料と退職金を経費にできる

ほかにもありますが、フリーランスが法人化するメリットは大きくこの3点だと考えています。

社会的信用度

法人化すると、「会社登記」といって、商号や所在地、代表者、事業の目的などを法務局に登録することになります。

この登記は一般に開示されるので、社会的信用度が増すという仕組みです。

社会的信用度が高くなれば、資金調達もしやすくなりますし、大口の取引機会も増加します。

節税対策

収益にもよりますし、税制について知識をもって調整を行う必要はありますが、法人化が節税対策になる場合も多くあります。

これは、個人の所得にかかる所得税よりも会社の法人税の方が上限税率が低いからです。

特に、収益が大きいフリーランサーは法人化することでかなり税金を減らすことができます。

これについてはまた後述します。

役員報酬と退職金が経費に

フリーランスでは、自分の生活費を経費とすることはできません。
しかし、会社を設立すると「役員報酬」を経費として計上することができるようになります。

また、退職金の積み立ても経費とすることが可能。

ただし、会社の経費にすれば会社の節税にはなりますが、個人として受け取った役員報酬や退職金は、個人としての所得になります。
個人の所得にかかる税金がなくなるわけではないので、役員報酬や退職金をいくらにするのかという点はよく考えなければなりません。

法人化のデメリット

もちろん、デメリットも少なくはありません。

  • そもそも手続きが面倒でお金もかかる
  • 赤字でも法人住民税均等割の負担がある
  • 社会保険の負担が大きい

などが挙げられます。

法人化にはお金も面倒な手続きも必要

まず、法人化は法的に認められる組織にするということですから、法的に定められた細かい部分を整備していかなければなりません。

当然準備しなければならない書類はいっぱいあるし、個人にはとっても難解
そのため、何度も書類不備で突き返されるか、10万円ほど払って専門家に丸投げするかの二択になります(苦笑)。

また、書類を全部自分で用意しても、タダでは法人になれません。
会社の資本金は1円だけでもOKになりましたが、登記は0円とはいかないからです。
どんなに少なく見積もっても、登録免許税6万円(合同会社で資本金875万円以下の場合)は必要ですね。

赤字でも払わなければならない住民税がある

個人にかかる住民税は、所得が低ければ全額免除になりますが、法人にかかる住民税は赤字だろうと払わなければなりません

法人住民税には均等割と法人税割とがあって、このうち均等割の方は、赤字だろうと収益がガクンと下がろうと、必ず払わなければなりません。
その額は約7万円/月
事業所のある地域によって配分は異なりますが、都府県と市町村の分を合わせるとだいたいこの金額になります。

社会保険加入は義務

忘れてはならないのが社会保険

国民健康保険と国民年金が社会保険と厚生年金になるのだから嬉しいじゃないか、と思うかもしれませんが、それは被雇用者側の感覚。
経営者側からすればこの負担は意外と大変です。

なぜなら、会社を設立した場合、「役員報酬から引く社会保険料」と「会社から引く社会保険料」で、倍の社会保険料を払わなければならないから。

たとえば、役員報酬が月々40万円で、愛媛県在住単身40歳だったとすると……

健康保険料 20,643円+20,643円
介護保険料 3,670円+3,670円
厚生年金保険料 37,515円+37,515円
計 123,656円(報酬天引+会社負担で計算)

を負担することになります。

さらに、フリーランスの時とは違い、

子ども・子育て拠出金(0円+1,476円)
雇用保険(1,200円+2,400円)
労災保険(0円+1,200円)

の負担まであります。

しかも、自分1人だけの会社でも社会保険の加入は必須
一部例外を除き、国保のままでいつづけることはできません。

<参考>
月収と年収の手取り計算|給与シミュレーション
https://funjob.jp/keisan/gekkyu/

法人化のタイミングは?

では、フリーランスはどんなタイミングで法人化をするのが良いでしょうか。

いくつか目安を挙げてみましょう。

個人所得税率が23%以上なら要検討

まずは、個人所得税に注目です。

個人所得税の税率は、所得により6段階に分けられています。

課税される所得金額税率
195万円以下5%
195万円を超え 330万円以下10%
330万円を超え 695万円以下20%
695万円を超え 900万円以下23%
900万円を超え 1,800万円以下33%
1,800万円超40%
所得税の速算表|国税庁Webサイトより https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2013/taxanswer/shotoku/2260.htm

これは国へ納める所得税のみの税率です。
さらに、都府県市町村へ納める住民税が10%ほどかかります。

これに対して、法人税は最高でも23.20%
しかも、800万円以下の税率は18%しかありません。

法人住民税は地方によって異なりますが、たとえば私の住む愛媛県新居浜市でこれから法人化するのであれば、法人県民税は超過税率でも1.8%、法人市民税は8.4%。
個人とは異なり、法人税を基準にしているのでかなり安いことがわかります。
ただし、こちらは均等割の7万円が固定になっています。

細かい部分まで計算すると大変なので、ざっくり法人税の最高税率だけで比較すると、ボーダーは「課税所得695万円~900万円」の税率23%であることがわかります。

個人住民税の10%を加味すると、「課税所得330万円~695万円」の税率20%でも検討の価値がありそうに見えますね。
ただ、法人住民税の均等割7万円や、各種保険料、事業税などは考慮されていないので、実際には600万円を超えるくらいでなければ法人化のメリットはなさそうです。

簡単シミュレーションでみてみる

個人にかかる税金と法人にかかる税金は税率だけでなく計算方法も異なるので、法人化する方が良いのか個人事業主でいる方が良いのか難しいところです。

そういう時は、シミュレーションフォームを使ってみるのも手です。

法人成りの税額診断|freee
https://www.freee.co.jp/launch/tax-simulation-incorporate/

たとえば、400万円の収入で経費が10%、役員報酬として300万円を受け取る場合だと、個人事業主の納税額は861,228円、法人の納税額は1,161,640円となり、法人化しないほうが30万円ほど安くなります。

これを600万円に変更しても、まだ個人事業主の方が7万円ほど安い。
これが650万円になると1.5万円ほどですが、法人の方が安くなります。

では650万円辺りがボーダーかというと、実は収入600万円、経費10%でも役員報酬を250万円に下げれば法人の方が3万円ほど安くなります。
これは、個人にかかる税金の方が高いから。
役員報酬の額を上げると、それだけ個人の所得にかかる税金が増えてしまうので、役員報酬が少ないほうが節税になるわけです。

とはいえ、会社のお金を生活費に回すと横領ですからね。
あまり下げすぎると生活ができなくなるので、バランスを取らなければなりません。

これらから、法人化の収入の目安としてはやはり600万円台くらいだといえそうです。

青色専従者がいるならもっと節税できるかも

個人事業主で、家族が青色専従者として働いてくれているのであれば、法人化することでさらに節税になる場合もあります。

というのも、青色専従者の給与も経費として引くことはできるのですが、青色専従者は配偶者控除や扶養親族の控除対象とすることができないからです。

法人化すれば、この控除対象から外れません

さらに、家族が会社の役員ではなく一般の社員扱いであれば、働きに応じて給与の増減をしたり、ボーナスを出すこともできるようになります。(役員報酬の場合は固定でボーナスも出せません)
もちろん、これらは会社の経費として計上することができます。

多少損をしても法人化する方が良い場合も

税制上のメリットがなくて、たとえば年間数万円程度税金を多く払わなければならなくなったとしても、法人化した方が良い場合もあります。

なぜなら、法人化することで社会的信用を得ることができるからです。

業種にもよりますが、大きな企業になればなるほど、個人とは取り引きしてくれません。
つまり、大口案件を得ようと思うと、法人化していなければならないということです。

社会的信用が重要視されるような業種であれば、未来への投資として法人化しておくのも手です。

事業は「今」だけを見ているものではなくて、「今後、生涯、トータルでどのくらいのリターンが見込めるか」で考えるべきものだと考えましょう。

法人税は下がり、個人所得税は上がる

実は法人税はこのところずっと下がってきていて、個人の所得税は上がってきているんです。

法人住民税も然り。

先のことまではわかりませんが、今の日本の政治傾向からすると、今後も法人税はあまり上がらず、個人の所得税は少しずつ上がっていくのではないかと予想されます。

税制はわりとしょっちゅう変わっているので、改正があった場合には再度法人化を検討することも必要です。
今は600万円台が目安でも、今後は変わってくるかもしれません。

最新の情報を入手して、いつでも対応できるよう勉強しておきましょう。

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